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今回,造形物に関しさまざまな方から,いろいろなご指摘を受けた。その際,手持ちの資料を見直してみて,あらたな幾つかの発見があった。だいたい,こういう資料調べというのは造形前に行っておくべきものであるが,もともと読書の習慣がなく活字は苦手なためしょうがない(ハッキリ言い訳)。スーツ造形の記述については,「大ゴジラ図鑑(ホビージャパン)」(図)がやはり詳しい。その製作の流れや様子を示した画像は,一応,参考資料としてまとめ,今後リファンレンスに置いておこうと思う。特に目を引いたのは,芯と呼ばれるスーツ造形の写真である。「大ゴジラ図鑑」にはその写真が2点のみだが,「ゴジラ1954(実業之日本社)」では6点のものが掲載されている。今回の造形は俗に2号スーツと呼ばれるものである。2号スーツ製作の経緯は諸説あるものの,どうやら当初より2体造ることが予定されていたらしい。まあ何にしろ,この2号スーツがその後の50年の歴史を決定づけた勇姿,その芯はまさにその原点であることにまちがいはない。この芯画像には,結構,造形する上で役立つ情報が隠されている(これを見れば,足の指の数と位置は一目瞭然だった)。 スーツは,1.芯製作(竹細工,金網+紙)→2.表皮貼付け(布+特性ゴム)という大まかな流れにより製作されたそうである。この1.と2.との間でその後の作業を容易にするため芯は分割され,パーツ同士を合わせる際には襠(まち)が入れられたとされる。エピソードによればゴムの伸縮性はあまり良好とはいえなかったらしいので,この分割面がいわゆる関節部(可動部)になったと思われる。誌面に掲載されている写真を見る限り,人体の関節部とほぼ同じ部分に加え,胴体は胸より下の部分,そして尾の付け根が各々分けられ襠が入れられたようである。 芯画像を見て特筆すべきは,その前傾姿勢である。よくよく見れば先に完成している1号スーツにおいてもこのシルエットは踏襲されている。ただ,この極端な前のめりの姿勢は,スーツ・アクターにとってあまりに酷な体勢であることは想像に難くない。特にスーツの自重は100kgをゆうに超えたとされることから,なおさらである。実際,やっぱりといういか,(創造者から見れば)残念というか,劇中で”のし歩く”姿を見ても,これがそっくりそのまま再現されたとは言い難い。 そうなってくると,そのギャップ,歪みがあらわれてくる。それは,可動部を中心とした皺であったり,潰れとして出現する。実は前から初ゴジが直立したときの尾の潰れ方が気になっていた(カッコ悪いので。図)。これまでは,その太さと重さゆえの結果であると思っていた。今回,このスーツ芯造形を見てみると,その理由はもともとの基本造形に由来する必然性により発生していることが良く分かった。 このたびの造型では,これをそっくり再現してはあまりにカッコがよろしくないので大きな皺のみを付け根に入れることにした。
by hisaon13
| 2005-01-22 23:45
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