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今回は各雛形原型の造型順序について考えてみる。3モデルを一度に比較するのもたいへんなので、ウロコ状表皮とイボ(ツブ)状のものとの造型上の違いを列記して考察してみる。 1)頭部の大きさおよび表皮形状が両者で異なる。また、頭部の正中に対する向きが違う(ウロコ状ではやや頭を左側に振っている)。 2)下顎のつけねの形状が両者で異なる。 3)背びれの形態および配列が異なる。特にイボ状のものでは大きな背びれで構成される2列に加えて、その外側にさらに背丈の低いひれの列が追加されている。 4)イボ状の尾の先端が先細りが強くなり上方に向かいはねている。 5)眉の形状が異なる。イボ状では造作が複雑になっている。 6)イボ状では鼻筋が造られ、また鼻孔が大きくなり、鼻翼等も明瞭にされている。 7)頬部の隆起の形態が異なる。イボ状ではコブの形態が独立し、複雑化している。 8)上下顎の牙の配列が異なる。ウロコ状表皮ではやや下顎が突出し反対咬合になっている。また、イボ状ではいわゆる乱ぐい歯になっている。 9)首まわり。イボ状のものには、特に正面像からみると、酒井造型でとりあげられることのあるコブラひだらしきものがつけくわえられている。 10)イボ状では鎖骨〜肋骨(胸部)と腹にあたる部分が明瞭にの造り込まれている。 11)正面体部正中部を走るライン(以下、便宜的に胸線と呼ぶことにする)がイボ状ではみられる。 以上、イボ状表皮の原型で見られるウロコ状のものとの違いや造型上の特徴は、ほぼすべてワニ皮表皮のサードモデルにおいても見られる。これらのことから、造型行程を加味すれば、イボ状表皮雛形原型がセカンドモデルと捉えた方が合理的であると考える。 なお、資料2)のp38で『モールドが入る前の雛形』と紹介されている画像(掲載紙面の順序を考えるとウロコ状表皮の芯と思われる)は、左図の赤丸で囲まれた部分を見る限り、ウロコ状表皮からイボ状表皮への移行過程(モールドを落として、顔まわりや尾に手を入れた)のものと考えた方が良いのではないだろうか?
by hisaon13
| 2008-01-16 22:50
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