今回は下顎造型の最終編、雛形原型からスーツへの投影と変遷について書き留めることにする。
これまで下顎、特に顎角部を中心に書いてきたが、同部周辺、特にゴジラのスーツを見ていく上ではずせないメルクマールがこの雛形原型に存在する。左図(1)に示したような頬部隆起の後方部から首へと続く襞がそれである。ファーストモデルでは確認されず、セカンドモデルよりそれは造作されはじめたようだ。サードモデルでは左側に比較して右側において顕著に造られている。図(2)はサードモデルの正面画像であるが、赤○印で示した部分は一見すると顎角部(エラの一部)に見える。しかしながら、拡大画像で良く確認すると先の首へと続く皺がオーバーラップしてそのように見えているのがわかる。
1号スーツについては、以前にも記したようにフォルム全般にわたり原型を忠実に踏襲した形で造られている。フォーカスをあてている下顎についても同様、雛形ほど、細かな造りにはなっていないものの、凡そその原則(上顎の下顎をおさめる窩の部分および口角部分が延長し、突起様にのびた一部分が下顎の体部に付着している)は守られているように思われる(図(3))。詳細かつ明瞭な画像が手元にないのではっきりしないが、概ね左右対象に造られているようだ。また、首へとつづく襞も形づけられている。この襞はその後のスーツモデルにおいても受け継がれていくが、もっとも顕著に強調されているのがキンゴジ(図(4))である。