前回,体表のことにふれたので今回もその続きということで,造型見本としている井上氏原型のキットについての独り言。左図はアーツ製のキャスト・キット(数年前に再販ものということでネットを通じて手に入れた)とファルシオン製のものとの比較(左腕)である。ファルシオンのキット作りにかけるこだわりは他所にゆずるが,それにしても歪みの少なさは見事ですばらしい。一目瞭然,大きさの違いはよくわかる。しかしながら,結構均一に収縮していてオリジナルの持つ形態を大きく損なうような歪みはないように見える。画像では少し解りづらいが鱗の一つ一つがきれいに再現されている。鱗形状の詳細についてもいろいろ記したいが,またの機会にしたい。
さらに強拡で左図および右図にファルシオンとアーツのものを各々示した。鱗のエッジのシャープさはアーツ・オリジナルが勿論のこと優れているのだが,凹部のディテール,具体的に言えばへこんだ表面の粗造観(砂をちりばめたような『ざらざら感』)は逆にファルシオンのものの方が勝っているように見える。この点については,ファルシオンが金型作製前のレジン原型に手を加えたのか,ソフビの収縮過程でできた偶然の産物か,はたまた私の所有しているキャストが紛い物(もしくは?台目のリキャストあるいは型抜き末期のもの??)なのかは明らかでないため,その詳細は不明である。こうなってくると初版のキットをみたいものだが,現在では入手が極めて難しく,プレミア度がものすごいので恐らくそれも叶わんだろうな。