オバグラ閉店告示の話が各板で話題にのぼり,静かな波紋をなげかけている。
ガレキに興味を持ち始めた頃より訪ねてみたい思っていたが,なんせ地方在住,なかなかその機会に恵まれなかった。2年前の冬,仕事で上京した際,当時探していたキットもあり,なんとか時間をつくり立ち寄ることにした。夕暮れの下赤塚の駅を下りると,小さな商店が立並び,家路をいそぐ人や買い物客で賑わっていた。その様子は,かつて生まれ育った商店街のそれに似て,妙に懐かしい気分にさせられた。店舗は,商店街をはずれかけはじめた通りの雑居ビルの中にあり,やばげなアジア系マッサージの階上にあった。店内は壁高く積まれたキットで囲まれ,棚におさまらない箱や裸のままの組途のキットが無造作に通路に積まれていた。入り口正面,道路に面する窓際には写真でしか見たことのなかったキットの完成品数点がディスプレーされており,なかでも井上氏原型のアンギラスが異様な圧力感をもって鎮座していたのが印象深い。数々の箱に目をやり箱に手をかける時の何とも形容しがたい期待感は,まるでガキの頃日参した駄菓子屋にいる気分だった。残念ながらお目当ての品はなく数十分という短い滞在だったが,まるでタイムスリップしたかのような時間を過ごせたことは,今でも心地よい思い出として残っている。